#3:晩飯

 選択 戻る 進む

-----------------------------------------------------------------------

 ……放課後。各教室の掃除も終わり、三時半の太陽が窓から差し込む。

「こ〜じ、今日は『用事』って奴は無いのか?」
 掃除の終わった2年A組で、ユウが康二に問い掛けた。
「無い。
 だから帰って寝――」
「よぉ〜し!
 今日はおまえん家に晩飯食いに行くぞ!」
「はぇ?」
 「お〜!」
 「いいですね〜♪」
「あんたらも!?」
「何が良い?」
 「ピザ〜ッ!」
 「でもピザなんて食べたらカロリーが……」
「おい!」
「じゃぁ、材料買ってこよ〜ぜ!」
 「ピザ〜ッ!!」
 「あぁっ……でも食べたい……」
「あのな!」
「じゃぁ、決定!
 もちろん、巨大サイズな!?」
 「ピッツアァァァァァ!」
 「じゃぁ、5時半ごろにお伺いしますね」
「田島さんまで勝手に決めんな!」
「勝手に決定〜♪」
 「けって〜♪」
 「楽しみですね♪」
「お、お、お、おい!」
「よ〜し、材料買ってこうようぜ!」
 「久々や〜、こ〜くんのご飯!」
 「お米使ってませんけど……」
「お、おい……」
「じゃぁ、生地だけ任すぞ!」
 「任します〜♪」
 「お任せします」
「がぁっ!?」

 瞬きをした瞬間、三人は既に廊下へ出ていた。

「……くそぅ」

 断固拒否をして断れば良いのに、
 巨大なピザをつくってみたいという、
 奇妙な欲求が康二の中に存在した。

「……材料費、タダなら」

 自分に負けた。
 未知なる料理に対する好奇心が、
 康二を打ち負かしたのだ。

「……」

 康二は地団太を踏んでみた。

「……くそぉ」

 通りすがりの教師が、この間抜けな光景を見ていたことを、
 康二は知らない。



 康二は自宅へ帰って、すぐに調理器具の点検をした。

 ピザを作るのに必要な道具はそろっているので、
 3人が来る5時半になるのを待たなければならない。
 その内に、巨大生地を作っておくことにした。

 「あっ……おかえりなさい」
「……」
 『康二、どうしたんだ?』
「……巨大ピザの下準備」
 『何だってぇ?』
「あの馬鹿三人組が来るからな……」
 『……嫌なら断れよ』
「巨大ピザは作りたい!!」
 『オマエも、ずいぶん馬鹿だぞ……』

 彼は料理が好きである。
 元々、康一の家に住む様になってから、
 食費を浮かす為に覚えた技能ではあるが、
 ものすごいスピードで学習した彼は、
 和洋中のある程度の料理をマスターするに至った。

 『パンの生地ってどのくらいでできるんだ?』
「40分かけて生地を作って、2時間発酵させなけりゃならない」
 『2時間!?
  長い、そんなことしたら奴ら来ちまうんじゃないか!?』
「料理に関して、俺に不可能は無い」
 『何カッコつけてんだよ……』

 康二は冷蔵庫から大きめのボールを取り出した。
 中身はラップで覆われていて、
 なおかつ水滴がラップに付着して、中身がよく確認できない。

「この中身……パン生地だ」
 『……用意周到だな、オマエ、
  いつ作ってたんだよ、そんなもの……』
「昨日だ……たまにはパンを作って食べようと思ってたんだ」
 『何故に?』
「夜のスーパーだと、
 パンが品薄だから買いそびれたりするんだよ……」
 『なんだそりゃ!?』
「無ければ作るのはキホンだろ?」
 『何のキホンだ!?』

 権十郎とこのようなやり取りをしながら、
 康二は60cm程にパン生地を伸ばしてゆく。

 「あ、四角いんですね」
「大食い3人が来るからな……。
 こうすればたくさん焼ける」

 この家のオーブンは、大きい、
 だからこのサイズの物を調理しても、余裕があるのである。

「ピッタリだな」
 『オマエはこんな量のパンを作るつもりだったのか』

 ピザ生地の大きさを確認した権十郎は、康二に尋ねた。
 その質問に、康二は答えた。
「康さんって、弁当作っても食べる暇ないからさ、
 パンにはさんで……」
 『サンドイッチか?』
「いや、ハンバーガーだ。
 そういう風に作ったほうが、
 食べるんじゃないかな〜って、思ったんだよ」
 『中にゲテモノでも入れるのか?』
「いれねぇよ!!」
 『入れればいいのに……』
「オマエのプログラム、やっぱりおかしいんじゃないか?」
 『ニンゲンだって、DNAっていうプログラムでできてんだろ!!』
「何を言ってるんだよ、このロボは……」
 『あ〜ぁぁぁ、ロボって言うな!!!!』
「ろ〜ぼ、ろ〜ぼ、ぼ〜ろ!!!!」

 康二は権十郎を軽く蹴った。
 すると権十郎は、丸い体でコロコロ転がる。

 『た〜て〜な〜い〜ぃぃぃ……』
 「……くすっ♪」
「充電しながら寝てろ……
 ……さてと、あと1時間半か……、
 取り掛かるの早かったかな……。

 掃除でもしとこう……」
 「お掃除なら済ませておきましたよ?」
「まじで、ありがと。ど〜りでキレイなわけだ」
 「そんな、リビングしかしてないし……」
「じゃぁ、テレビでも見ようか……?」

 ――え?
  女の声しなかったか?
  ……ゴンのボイスチェンジャー?
  ……でも、ノイズなかったし……?

 康二は振り返った。

「……」

 だれも、いなかった。

「……幻聴か、疲れてんのかな?」
 「あっ、風邪だったら大変、今すぐに寝ないと!」
「ああ、大丈夫……ちゃんと、声が聞こえ……」


 T-シャツの上にエプロン。前髪を三角巾で上にまとめ、
 後ろに、黒くて艶のある長い髪をゴムでまとめた少女が、
 西川康二を心配そうに見つめている。

「……」
 「氷枕、つくる?」
「……」
 「吉本君、部屋はどこ?
  具合が悪いなら、ちゃんと寝てないと!」
「……なんで昔の苗字を知ってるんだ。

 それより、誰だあんた……?」
 「え?」
「……誰だ」
 「わ、わたしは……」
「……どこから来た」
 「ま、まだ名前が……」
「……狙いは何だ?」
 「私はみず……」
「……ヤツの手先か!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 「ヤツって誰!!??」

 『ソイツハ、アノ金髪色男ノ客ダ……』
「――はぁぁぁぁ!?」
 「あの……私のこと……」
「まず、俺が帰ってきたら声掛けろよ!」
 「掛けたもん!」
「じゃぁ、勝手に上がるな!」
 「西川大佐にここに居ろって……
  えっと、、鍵も預かってるし……!」
「預けるな!」
 「私に言わないで!」

 権十郎は、エプロンを身に着けた少年と少女の間で、
 バランスの合わない手足を上手く可動させて、
 それはもう必死に立ち上がろうと試みている。



 二人の不毛な口喧嘩は、
 康二の喝舌の悪さのおかげで、辛うじて幕を閉じた。



「……つまりは、
 あんたがシヴァのオペレーター……ってことか?」
「はい……」

 康二と少女はリビングのテーブルを挟んで、
 床に座布団を敷き、腰を下ろしている。

 少女はエプロンと三角巾をはずし、T-シャツとスカートのみの姿となった。

 異性にあまり興味を持たない康二でも、彼女の容貌は美しいと思う。
 身なりについても、T-シャツにスカートと、ラフな服を着ているが、
 皺などがあまり見られなず、彼女は確りと着こなしているので礼儀正しさを感じる。
 黒く艶のある前髪は、眉毛ほどの長さに切り揃えられ、
 後ろ髪は背中の中程まで伸びている。
 礼儀作法も確りしている様で、
 康二がエプロン、三角巾を身につけたまま胡坐でいるのに対して、
 彼女は、エプロン、三角巾を綺麗にたたみ、行儀良く正座で彼の方を向いている。

 

「あの、それより……私のこと、憶えてない……かな?」

 不意に、彼女がそう言った。
 
「え?」
「憶えて……ないかな?」

 彼女の口ぶりからするに、康二は一度彼女と会っているらしい。

「……憶え、て?」
「そっか……。まだ私の名前、言ってなかったよね?」
「あ、ああ……」
「……」

 彼女は目をつぶって微笑んだ。

「どうしたんだ?」 
「お互いに知ってるはずなのに、
 自己紹介するのって何か変だな〜って……」
「……悪い。
 忘れてるみたいで……」

 彼女の微笑が康二にとっては痛かった。
 
「じゃぁ、言います。

 大福餅幼稚園ゆり組、武蔵野特設小学校の、水島 桜です。

 ……あの時は、ありがとね」

 ――!!

 彼女の言葉を聞いた瞬間、すべてが一つに繋がった。

「……」

 彼女は、自分と同じ力を持つ少女。

 X-systemであった。

「ごめんなさい……。
 ずっと、かばってもらってたのに……」

「……」

「でも!
 私は、自分で決めて、ここに来たの……それだけは信じて!」

「……」


 彼女の名は、水島 桜。
 メテオブレイカーの研究施設が武蔵野にあったときに出会った少女。
 康二はその時、近くの幼稚園にいた。
 人造人間である康二だが、人間と同じ成長、学習能力の為、
 大福餅幼稚園に預けられていた。
 ある日、
 何も知らない彼女が力を使い、
 園児達の注目を集めていたときに康二がそれを発見し、
 みなが去ってから、その少女にX-systemの力について教えた。
 彼女には、力のことを絶対に秘密にしなければならないと念を押し、
 メテオブレイカーや、アースガーディアンがX-systemの力を持つものを
 世界中から集めていることを教えた。
 その時、康二にとって幼稚園から戻ったあとの監視生活がとても嫌だった。
 だから、彼女にはそうなって欲しくないと思い、
 その力を二度と人前で使わないようにと言ったのだ。

 その後、彼女とは友好関係となったが、
 メテオブレイカーが神奈川県に本部が移転することとなり、
 康二と桜の接点は、年に一度の年賀状のみとなっていた。

「ごめんね……」

「……」

「怒ってるよね……」

 桜は、自分の都合で康二の善意を台無しにした。
 彼女がここにくる際、それだけが気がかりだった。
 生真面目な彼のことだ。怒るだろう。
 だから何を言われてもいい。
 そう思っていた。

「……くそ」

「……」

 桜は康二が自分に向ける言葉が怖かった。
 思わず、肩をすくめてしまう。
 しかし、康二の口からは、思わぬ言葉が出てくる事となった。

「……腹の底じゃ、滅茶苦茶ムカついてるのに、
 どっかでうれしいと思ってる……。

 馬鹿だよな、俺……」

「馬鹿なのは……私だよ」

 康二は、ため息混じりに微笑んだ。

「もう襲ってきたりしないよな?」
「え?」
「ガイアに乗って、そう間も無いんだろ?
 なのにあんなに動かせるなんてすごいぜ……」
「そんな……。
 わたしは……」

 言葉を詰まらせながらも、桜は謙遜した。

「そうだ!
 これからクラスの仲いいやつらでピザ食うんだ。
 多分、康さんの帰り遅いから……ど〜せだし一緒に食うか?」

「いいの?」
「ピザとかって、皆で食った方が旨いだろ?」
「ご馳走に、なっていいの……?」
「……ああ」

 先ほどまで、二人が気にしていたことは、
 もう考えなくても良さそうであった。



『Pi Pi Pi...!!!!』
「電話か……」

 康二は家庭用電話の受話器を取りに行った。

 『良かったな』
「ごんちゃんもよろしくね」
 『こちらこ――』

「――ふざけんな!
  ヲイ……切るな、来るな、やめろ、ざけんなァァァァァァァァ!!」

 権十郎の挨拶を遮ったのは康二の大声だった。

 『康二!?』
「ど、どうしたんで……すか?」

 康二は受話器を元に戻さずに、淡々と言い始めた。

「イレギュラーだ……」
「な……何が?」
「俺たちは、危機的状況に陥った」
「危機!?」
「これから指示に従ってもらわなければならない」
「な、何を……」

 康二は桜の顔を睨むように見る。
 先ほどの和やかな表情ではない。
 まるで、彼の顔にうっすらと浮き出る脂汗が、
 その『危機的状況』がいかに重要なものであるかを語っているようである。

「今すぐその部屋に隠れろ!」
「何で!」
『ぴ〜んぽ〜ん♪』
「しまった!?」

 康二は玄関のチャイムの音を聞くなり、
 桜の両腕をつかんで無理やり立ち上がらせた。

「えぇぇぇぇ!?えぇぇぇぇ!?えぇぇぇぇ!?」
「じっとしていろぉ!!」

 ……だが、時すでに遅し。

「――シャッターちゃ〜んす★★★★」

 白い閃光が、この部屋に瞬いた。

「あ……」

 康二は、桜を抱きかかえる形となっていた。

「いぇ〜い、スクープゲット♪」

 康二の通う中学校の女子制服を着た少女が、
 物々しいカメラを両手に持って、ファインダー越しに二人を見ていた。

「ピザ食べにきたよ〜♪」
「……」

 彼女の名は、鳳凰院みかこ。
 この町の女性市長、鳳凰院美香と、
 メテオブレイカー技術部主任、鳳凰院正宗の娘である。
 
「ど〜した〜?」

 彼女はけろっとした表情で、
 ファインダーから目を離して康二と桜を直に見る。

「……ユウ、ナミ、田島さん、
  説明しろぉぉぉぁぁぁぁぁあああああ!!」

  カメラを持った少女の背後には、
 水木ナミ、小田ユウ、田島はじめの三人が、皆そろって顔を抑えていた。

 「まぁ……、色々あんだよ……」
 「西川君が……女の子を連れ込んでそんなご無体なことを……」
 「何や〜……男ならもうちっとムードかんがえな〜!」

「うがぁぁぁぁぁ!」

 皆で康二に向かって勝手なコメント言うので、彼はただ叫ぶことしか出来なかった。



 〜中略〜


 (みかこ以外が)持ち寄ったピザの食材で、
 とてもおいしいシーフードピザが出来上がった。
 そして夜8時になる頃、
 西川康二、水島 桜、小田ユウ、水木ナミ、田島はじめ、鳳凰院みかこの6人は、
 夕食のピザを食べ始めた。
 

「つまり……水島ちゃんは、こ〜じの知り合いで、
 こ〜じに逢いたい一心で単身鉄町に来たわけだな?」 

 ピザのチーズを伸ばして楽しみながら、ユウは康二に向かっていった。

「み、水島ちゃん……」

 桜は、どうも彼らの水島ちゃんという呼び方には納得できない。
 だが、そんなに親しい間柄ではないので反論が出来ない。

「ちがう、康さんのお客さんだ!!
 ……そうだろ!?」

 桜の隣に座る康二は、
 ユウのピザに大量のタバスコをかけて反論した。

「う、うん……」

「ほらぁ!」

 康二はその後に唐辛子の粉を、再びユウのピザに大量に降りかけた。

「嫌がらせのつもりか〜?
 このて〜どの香辛料、俺には効かねぇぞ?」

 ユウは、辛さ爆裂(推定)のシーフードピザをひょいと口に入れた。

「くそぉ……」


「でも、水島さんはどうして西川君の『おじさん』に呼ばれたんですか?」

 桜の向かいの席のはじめが、桜に問いかける。

「え、えっと……(おじさんと言うには若いんじゃ?)」

 とても『ロボットを操縦する為に来ました〜★』とはいえないし、
 よりにもよって、他人の家だ。
 下手な理由を捏造してボロが出てしまっては大変である。
 だから桜は口をもごもごとするしかなかった。

 ごん……。

 体を多少近づけて話しかけたため、はじめは自分のコップのジュースをこぼしてしまった。

「田島さん、こぼすなよ!!」

 康二は、すぐさまキッチンへ雑巾を取りに向かっていった。

「ご、ごめんなさい……」

 突発的なアクシデントが怒った為に、
 桜がここに着た理由についての話はうやむやになった。

 ……と、思われた。

「そ〜よね、康二君と抱き合ってるくらいの娘だもんね……
 何でここに来たの?」

「ほんま、びっくりしたわ〜」

「え……(あれは抱き合ってません)!!」

「もしかして……、その年で同棲?」

 みかこは桜に顔を近づけていやらしげな目つきで桜を見ている。

 桜自身も、どうしてここに居ろという指示を受けたのかを聞きそびれた為、
 上手く理由を話すことが出来ない。

「えっとぉ……(この人、発想がオヤジっぽい……)」

「だからこ〜じに逢いたい一心で……」

「あんたもしつこいな〜」

「やっぱり、西川君ってそういう人だったんですね……」

「あぁぁぁぁ……」

 桜が問い詰められていると、2枚の雑巾を持った康二が戻ってきた。

「もしかして……、
 ハカセ……じゃなくって、真琴さんが預かることになった女の子って……

 水島さんじゃないのか?」

 真琴さんといっても、
 クラスメイトの3人と部外者(他のクラス)にはわからなかった。

「だれや?
 そのまことさんって?」

「上の階に住んでるんだよ。
 たしか、水島さんの親戚だよな?」

 川崎真琴。メテオブレイカーの若き科学者で、
 康二など、一部の隊員はハカセと呼んでいる。
 また、桜の母方の従姉である事を康二は知っていた。

 そんなことを、康二と桜以外の4人は知るはずも無く、
 皆はそれが正解なのかと桜を見つめる。

「……」「……」
「……」「……」

「そ、そうだったんだ……」

 桜自身が正解を知らなかったため、間の抜けた反応が返ってきた。

「ははは、オモロイこの娘!!」
「何か俺でも誘拐出来そうだな!!」
「上の階の人となんで知り合いなんですか?」

 『ははは』と言う笑い声が部屋に包み込む。

「――って事はさ、うちの学校に転入するんじゃないの?」

「だったら、昼休み俺たち屋上で飯食ってるから顔出してくれよな!」

「は……はい……」



 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・




 9時半になると、4人は帰り、康二はオーブンの手入れをしている。

「康さん、遅いな……」

 彼女をここに呼び出しておいて、呼んだ本人の康一はまだここには居ない。
 いくら目下のものに対しても、連絡すらしないのは失礼だ。

 少しばかり苛立ちながら、康二はオーブンの手入れを済ませた。

「遅いな……」

 康二はリビングに向かい、待たせている桜に聞いてみた。

「何時くらいに帰ってくるか聞いてないか?」

「聞いてないよ」

 『ったく、あの金髪色男は!!』

 桜と権十郎は和やかに話をしている中、
 康二は、言い知れぬ悪寒を感じていた。

『Pi Pi Pi!!!!』

 電話が鳴った。

 康二の悪寒は更に悪化する。
 そのおかげで、受話器を取ることにも戸惑ってしまう。

 受話器に手を伸ばす。

「……」

 受話器を取って、スピーカーを耳に当てた。

「……もしもし」


 電話は、メテオブレイカーからの、
 『旧東京でメテオが覚醒した』という知らせだった。





 選択 戻る 進む