みゅんみ〜様の作品『よびかけ』
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「まだあんた、そんなことやってるの?」
数年ぶりに・・・偶然再会した友人と、お喋りをしていたのだが、やはり言われてしまった。
・・・呆れ顔で。
高校を卒業して、早三年。私は毎日堕落した日々を送っていた・・・。
折角入れた大学も、先月辞めてしまった。
そんでもって。私は好きな、絵を描き続けている。
昼はゴロゴロ、夜は夜で、バイトな毎日。
・・・別に、だからって怪しい仕事をしている訳でもないけど・・・。
自分の住んでるアパートの大家さんとは、仲のいいお茶友達状態。
いや、単に引きずりこまれてるだけなんだけど・・・。
そんな、日々を送りつつ私はパソコンで絵(CG)を描いたりもしているのだが、
どうもプリンタの調子がおかしい。・・・と思っていたら、単にインクが
切れかかっていただけだった。そして、仕方ないので文房具屋さんに買いに来たのだ。
すると、どういう訳か、中学の頃の大親友と数年ぶりに再会してしまったのだ。
彼女は卒業と同時に、外国へ引っ越してしまった為、『二度と会えないだろう』等と
思っていたので、互いにこの奇跡を喜び合った。
遠くにいても、心の何処かで通じ合っているのかもね、等と言葉を交わしつつ。
近況のハナシをし始めると、途端に彼女は呆れ顔で言ったのだ。
「まだあんた、そんなことやってるの?」と。
「だってさぁ、気持ちイイんだよー?叫んだ後って。私にとっては、ある意味
ストレス解消なのよー」
「でもさー、あんましさァそーいう場面に遭遇したら迷惑じゃん」
「うーん、確かにそうだよねェ。でも止められないンだよねぇ。」
「そっかー・・・・。あんたって、ホント昔から変わンないね。やっぱあんたって変わりもンだよ!!」
「そーだねー」
「何、一人で納得してんの〜!?(爆笑)」
きゃはははは。
何故かはわからないけど、私には、時々叫び出したくなる癖があるんだ。
何故・・・何だろう。
本当は、その理由(わけ)に気づいてる。だけど、人には言えない。
あの日の、切ないような、悲しいような、そんな気持ち。
・・・誰にもわからない。きっと。
一時間後。私は親友と別れると、その場から立ち去った。
いつもと同じ時間に、いつもと同じ道を歩く。・・・当たり前の様な行動。
機械的。・・・一人ぽっちだけど。
ふと、風が吹いた。
それは、私の横を掠めた。
アノ日ト、同ジ、カンショク。
途端に私の脳裏には、あの時のことが鮮明に映し出された。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
X月△日。私の通っている、木宇(きう)中学校の裏庭に、何かが墜落した。
もちろん、ニュースや報道なんかもされた。
色々調査されたのだけど、結局、それが何であったかは「誰」にもわからなかった。
・・・そう、あたし以外の人は。
何があったか、あたしは知ってる。
いや、あたしも、最初は知らなかった。
・・・裏庭に落ちているUFOを見つけるまでは。
あたしは「それ」を拾った。
「それ」はとても、小さかった。例えて言うなら、人間の親指ぐらいの。
そして。・・・そのUFOには人が乗っていた。
「UFOが小さいから、乗っていたのは小人だ!」なんて思った人、考えが甘い。
搭乗していた「彼」曰く、「乗り物にあわせて自分の体を小さくしただけ。」だそうだ。
あたしは・・・その・・・「彼」に出会った日から、「彼」のことが忘れられなくなってしまったのだ。
今で言う、「一目惚れ」というヤツである。そして・・・
「彼」も、同じ反応だった。
こ、こりは・・・ひょっとして、「両思い」とかいうヤツなんだろうか?
とにかく、電撃的な恋だった。
だけど。
「彼」には時間がなかった。
遠く、とても遠く・・・。とても遠い星から、この地球(ほし)に吸い寄せられてしまった「彼」。
彼の星では、ヒトは皆、「光 (レイ)」として生まれるのが当たり前。
白い光や、赤い光。黒い光や、蒼い光。そうやって、この世に生を受けた彼らは、やがて、
生まれたときの光の色がそのまま髪の毛の色になるのだそうだ。
彼の髪の毛は黒だった。
黒い光の力は、「悪いものしか生み出すことが出来ない」こと。そんな、「黒い光(ブラック・レイ)」の力故に、
黒い光から生まれたヒトは、五年の命しか与えられない・・・。そう「彼」はあたしに語ったのだった。
もしかしたら、自分が確かにここに在ることを誰かに覚えていて欲しかったのかもしれない。
・・・だって。
彼の瞳は真剣そのものだった。そして、言った。
自分がいつ生まれたのか、わからない。だけどわかるんだ。もうすぐ僕は消えてしまう。と。
悲しかった。初恋って、こんなモノだったのかな、とさえ思った。
だけど・・彼は言った。
「『光(レイ)』から生まれた人間はね・・・星になれるんだ。星、といっても、
空に浮かんで見える、あんな星じゃあない。
地球(ココ)で死んだら、地球(ココ)の一部になれるんだ。空、雲、風、地、火、水。そう、全てにね。
僕の星ではそういわれているんだ。」
その意味が、その時の私にはわからなかった。
数日後。彼は消えた。前ぶれもなく。
いくら、名前を呼んでも、返事はなかった。何かを失(な)くしたみたいに私は泣いた。
・・・一人だった。
その時だった。
ザァァァァッ・・・・・――――――――――
風が吹いて、私の横を掠めていった。
涙が、草むらに、ポタポタとこぼれ落ちた。
ツバメが鳴いた。
・・・顔を上げると、再び風が吹いた。
まるで、「ここにいるよ」と言わんばかりに。
・・・泣かないで。
声が、聴こえた。 風が唸っていた。
* * * * * * *
・・・そして、私は、久しぶりに懐かしい場所(あそこ)を訪れた。
マンション(の、屋上。)。 元、木宇中の裏庭である。
――――そう、中学の裏庭は、いつの日か、買われてしまい、そしてマンションが建てられた――――
すぅっ、と、息を吸うと、私は。
「・・・・・・・・・――――――――――――っ!―――――――――――・・・―――――っっ!」
叫んだつもりが、全然声にならなかった。というより、むしろ、
声にならないほどの大声を出した、と言う方が正しいだろう。
―――――久々に貴方に「会いたい」って思っちゃったよ―――――――――。
「いつか・・・また会いに来てね―――――!」
気が付くと、私はそう叫んでいた。
・・・叫んだ後も、私はその場に佇んだままだった。
この地球の何処かで、きっと、私の声を、聴いているよね。貴方は。
風も無いのに、髪が、ふわっと、そよいだ。
−END−
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