ー序章ー
「夢夜(むや)君!」
俺の幼なじみ・神瑠魔(かるま)は、俺を必死で追いかけてきた。
「ねえ、待って!!おいていかないで!!待って!!!」
「そんなに、おいていかれたくないのなら、さっさと走れ!のろま!」
神瑠魔が、俺を追いかけたのが悪い。
俺のせいじゃない。俺のせいで、神瑠魔がいなくなったんじゃない。
俺は、悪くないんだ。
俺が悪いわけ・・ないんだ。
どうして、神瑠魔が、死んだからって、俺のせいになるんだよ!
関係ないだろう?
関係ない。彼奴が死のうと死ぬまいと・・
俺には、関係ないんだっ!!
『好きだよ、夢夜君』
俺を好きになるな!
たった・・5歳の少女が7歳の俺に・・。
そんな気持ちあるはずないっ!
絶対、平気なんだ。
きっと、平気なんだ。
でないと、俺はおかしくなる。
でないと、俺は駄目になる。
嫌なんだ。もう。
もう・・みたくない。
見てしまえば、俺自身がおかしくなる。
知らない。
少女の死なんて知らない。
俺は知らない。
『貴方のせいで、神瑠魔がしんだのよっ!鬼!悪魔!冷血!』
ビクンッ
――――――――――・・・俺のせいじゃない。
『助けて!夢夜君!!』
ガバッ
目覚めた朝。気持ちの悪い日・・
俺の側に・・こないで。
俺の側にいる奴は・・きっと、みんな死んでしまうよ。
昨日の出来事が、あっというまには、さりはしないか。
さっさと、忘れたい・・・この気持ち。
<第1章へと続く>
第1章「闇」
「夢夜くーん♪」
女子共は、俺の周りで騒いでいる。
「何?」
俺が振り向くと、女子共は・・
「ねえねえ、夢夜君って付き合っている人いるの?」
女子共は、興味津々に言ってきた。
「別に?」
「じゃあ、じゃあ、好きな女の子は?」
好きな・・女の子?
ズキッ
消えろ!神瑠魔!!
俺の記憶の中から!どうしてだ?もう、10年間は経つのに。
消えない。消えない思いで。
嫌な思いで。思い出したくない。
見たくもない。
なのにーーーーーーー・・・。
「夢夜君?いないの?」
「・・関係ないだろっ!」
全てが嫌なんだ。全てが嫌いだ。
全て思い出したくない。
そんな思いでいっぱいだった。
「・・知るかよ。そんなん」
嫌な思いでは見たくない。
思い出したくない。
何故、思い出すのだろう?
『夢夜くーん!一緒にかえろう?』
ピクッ
「・・あ」
「転入生を紹介するぞーー」
ガラッ
先生が入ってきた。
そこには、見覚えのある少女がいた。
「初めましてっ一馬 早流(かずま さりゅ)と、申します。よろしくお願いします」
「えー、席はどこが良いかな」
彼奴・・・・・っ!!
まさか、
「あ、あーーーーーー!!!!」
やっぱり来た。
『貴方のせいで、神瑠魔がしんだのよっ!鬼!悪魔!冷血!』
っていった奴。神瑠魔の姉。で、俺と同じ年齢。
「私の妹を殺した、夢夜!」
大声で叫ぶなよ。うるさい。
ザワザワッ ザワザワッ
「・・・俺のせいじゃなくて、神瑠魔のせいだ」
「むー、貴方が、ちゃんっっとみていれば、神瑠魔は、死ななかったんだから!」
「姉のお前にも責任はあるぞ?お前だって、はぐれなければ、神瑠魔は、死ななかったんだからな」
バチッ
俺と、彼奴は仲が悪い。
神瑠魔と、知り合う前から仲が悪い。
とりあえず、仲が悪い。
神瑠魔が、死んでから、更に悪くなった。
「認めない!私は、貴方が、ルーの、後継者なんて・・それに、神瑠魔はーーーーーーーーーーーーー・・・」
ガラッ
不良少年の、秋土 紅(あきづち くれ)俺と同じ年齢の同級生。
「秋土!また、HRを、さぼったな!」
先生の怒鳴り声。そんなんだどうだっていいだろう?
俺が一番問題にしているのは・・・
『早流』・・だった。
<第2章へと続く>
第2章「“言葉”を、改めて」
「・・先生、何で、人殺しなんかを、学校においてるんですか?」
誰が人殺しだ。俺だって、小さいんだ。そんなんしるか。
「・・夢夜が、何歳時、何をしたんだ?」
早流は、喜んでいった。
「夢夜が、7歳の頃、私をおいて、妹の神瑠魔と、もりへはいったんです。そして、神瑠魔が「待って」といったのをきかず、走ってどこかへいったそうです。神瑠魔は、谷に落ちて死にました。妹の神瑠魔が「待って!」といったのも、聞かずにですよ?彼は、悪魔です!鬼です!冷血です!!!」
早流は怒鳴った。
ちょっと待て。お前が、俺達より早くどこかに行ったんだろうがよ。
「夢夜が何歳の時?」
「7歳です!!さっきいったでしょう!?」
早流が怒鳴ると、担任の先生はため息をついた。
「君がしっかりしなかったからだ。7歳の少年にそんな事が解るわけないだろう?さて、授業を始めるぞ」
ザワザワ・・・・ザワザワ・・・・
「どうして・・っ!この悪魔をみんな好くのよ!!!!」
悪魔で悪かったな。悪魔と鬼と冷血。ひっでーいいかた。
彼奴は、俺には昔から「優しさ」なんてもんがないじゃないか。
早流は、怒鳴った後、教室を飛び出した。
バタンッッ
彼奴は・・
ある意味、哀れな少女なんだよな。
(何よ!何よ!何よ!!!悪いのは全て彼奴じゃない!悪いのは夢夜じゃない!!夢夜なんて・・夢夜なんて死んでしまえば良かったのにっ!!)
ズキッ
「・・え?」
「夢夜君、7歳の時に殺したって本当?」
「俺は、殺してねえよ。彼奴が勘違いしてるんだ」
本当に、彼奴が勝手に勘違いしてるんだぜ?
俺は、殺してない・・絶対に殺してない!
絶対嘘だ!絶対平気だ!絶対・・俺はーーーーーーーーーーーー・・・・・・。
「夢夜が人殺しなのは本当よ!さっきはなしたとおりよ!夢夜は、人殺しであくまで鬼でーーー」
ガタガタッッッ
・・不良の少年・秋土紅だ。
「紅・・?」
俺は思わず、彼奴を見た。彼奴は・・
「“悪魔”と“鬼”と“冷血”の、意味を知っているか?“人間”ではないということだ。其奴は、“人間”だ。あまり、その“言葉”を、使わない方がいい。」
なんで・・彼奴が俺を?
「なーーー・・」
「授業を始めるぞーー」
秋土紅・・。
お前は一体何者だ・・?
<第3章へ続く>
第3章「“さよなら”なんて、いわないで」
「・・ねえ、さっきの人、誰?ゆりかちゃん」
早流は俺を、かばった紅のことを気にしているな・・。
「秋土紅。いつも、授業を出たりして、先生にしかられてるよ。無口でしゃべんなくて、怖いよ」
そう、早流に話していた。俺の場合だったら“不良少年”って言って、教えるがな。秋土紅は喧嘩などにも強いので、恐れての事だろう。俺にとっては“怖い”より、真面目に“授業”に、出ろよ。っていう、感じなんだけれどな。
「秋土紅?」
(秋土紅・・利用させてもらうわ)
早流、なんだか、機嫌がよくなったな・・。いったいどうしたんだろう?そんなこんなで、休み時間へと入った。
「ねえ♪秋土君、ちょっと、お話があるの。いい?」
秋土紅は、無視して歩く。だが、早流のしつこさに負けていた・・。
「用件は何だ?くだらなかったら、いくぞ」
早流は、表情を変えていった。
「じゃあ、ここへ、きてくれる?」
そう、いったんだ。俺は、二人の後を追った。妖しいと思ったからだ。そして、紅と早流は屋上で話す・・。
「ねえ、秋土君って・・確か、右手、使えないんだよね?」
え?
ビクッ
「このこと、ばらしてほしくなかったら。私の願い、聞いてくれる?」
「・・・」
早流はにたにたと、笑う。
「いいの?ばらして・・」
「・・・何を聞いてほしいんだ?」
早流は笑う。不気味に笑う。
「あのね、先生に説得してほしいの。夢夜は悪魔だ。冷血だって・・そして、学校中にばらして・・」
いったい、何が起ころうとしているんだ?
「・・あ・・」
「答えてくれない?秋土君」
何でだ?秋土の事を聞いてた、早流が、秋土の弱みを・・?
「・・・・解った」
秋土は頷く。そうすると、早流はまた笑う。
「じゃあ、はじめに、何をしてもらおうかしら?そうねぇ、まずは、夢夜の信用度を下げてもらえない?何をしてもらってもいいわ。殺したっていい。夢夜は神瑠魔を、殺したのだから!」
秋土は、屋上から降りた。俺はもう、さっさと、教室に戻って知らん振りしていた・・。だけれども、秋土の表情はすごく、青ざめていて・・助けてやれないか?という、気持ちでいっぱいだった。
「夢夜!」
張り切る、早流。
「貴方が“悪魔”だって事は、絶対に証明してあげる!」
・・・・俺が心配なのは・・・秋土だな。
だが、早流は、何かがおかしいぞ?なぜ、そんな情報が入っているんだ?
『さようなら』
俺は家に帰るとき、少女にいった。
『・・・あ』
少女は俺に声をかける。
『さ、“さようなら”なんていわないで!また、あえるよねっ?さようならって・・会えないって意味があるんじゃないの?』
そう、叫んだ。
俺は驚いた・・。
少女に言われたので、俺は
『また、あおうな』
といった。少女は頷く
『うんっ!夢夜君!』
あの日の心地よさが・・・戻ってくる。
ー続くー
第4章「“明日”への扉」
「え〜嘘〜本当に、夢夜君がやったの〜」
「私、夢夜君の事好きじゃなくなちゃった〜」
ガラッ
夢夜が、教室を空けると、みんなが、し・・・・んと静まり返った。
「・・?」
夢夜は、不思議そうな表情でみんなを見る。
「ねえ、夢夜君って・・ロリゲー好き?ギャルゲー好き?」
少女が聞いてくる。
「・・なんだ・・?そのロ・・・ゲェ?」
夢夜は、「???」というマークを表情にでしていた。
「なーんだ。夢夜君ってそうだったの?」
「そう?え?その「ゲェ」って・・何?」
夢夜がいうとみんな驚く。
「嘘ぉ、夢夜君って「あれ」でしょう?」
夢夜は、解らないでいる。そのときに、秋土が入ってきた。
ガラッ
「あ、秋土君、ねえねえ・・」
早流は走っていく。俺は、早流をつかんだ。
「待て」
早流は転ぶ。
「痛いじゃない!夢夜!」
「“痛い”じゃねぇよ。こんなことをいったのは、お前だな?早流」
早流は驚くように
「え?ばれた?」
「“ばれた?”じゃないだろうがっ!いい加減に、嘘を教えるんじゃねぇ!」
夢夜が言うとみんなが
「嘘なの?」
「夢夜君が年下ファンって言うのが?」
ザワ・・・・・・ザワザワ・・ザワザワ
「・・・・!」
夢夜は、ふと、窓を見る。
そこには、一瞬だけだが、神瑠魔が見えたからだった。
「神瑠魔」
そう、夢夜は口にした。
「神瑠魔って・・誰?夢夜君」
そう、女子たちが次々に言う。
「ーーーーー・・・」
望んだんじゃない。
俺は、神瑠魔が・・大切でしょうがなかったんだ。
だけれども、何もいえなくて。神瑠魔が“大切なんだ!”って、最後にはいえなかったことをすごく、後悔した。もっと、早く言っておけばよかったって。子供心ながらも、思っていた。神瑠魔が死んだなんて、考えたくなくて。もう失うのはいやだ!って気持ちでいっぱいになって。だけれども、傷は消えない。
神瑠魔が・・死んだのは、俺のせいーーーーー?
早流が俺を嫌っているのは解っていた。だけれども、だめなんだ。神瑠魔がいないと、いえなくて。いまさら、早流にいったって・・。
「夢夜君?」
少女の声で、目覚めた。
少女は笑う。
「もう、お昼・・休みだよ?行かないの・・?」
「食欲ないから」
俺が、そういうと、少女は涙ぐむ。
「あのっ・・神瑠魔ちゃんの事なら平気だよ、早流ちゃんは怒っているけれども、私も、お母さんも、そんなこと思っていないから。だから・・っ悔やまないで!夢夜君!」
誰・・?
こいつは・・・誰だっけ?
「お前・・誰?」
俺は、そう口にしてしまった。少女は笑って言う。
「一馬」
え・・?一って
「一馬 葉時女(かずま はじめ)。早流ちゃんの、双子の妹です。覚えて・・いるよね?夢夜君」
葉時女?あのときの女の子。やさしくて、だけれども、おっちょこちょいで、人をかばうのも得意で・・。
「葉時女・・」
俺は、そう、口にした。
「呼んでくれてありがとう。早流ちゃんの事も、神瑠魔ちゃんの事も気にしないで?夢夜君・・」
やさしく、しゃべった後、教室から出た。
「・・葉時女・・」
「じゃあね。またあえたら・・会おうね。夢夜君」
葉時女は走っていった。
いつ見ても、元気でかわいいな。
「!!!!」
苦しい!何だ!?この苦しさは!!
−続く−
第5章「微笑み」
「葉時女!」
ドンッ
早流は、葉時女を突き飛ばす。
「どうして、彼奴のそばにいたの!?答えなさい!」
怒鳴る早流に恐れる葉時女。だけれども、葉時女は早流をきっとにらんだ。早流は、少し後ずさりした後、「何?」という。葉時女はじっと見て話す。
「神瑠魔ちゃんが、好きだった人の・・名前を知ってるの?早流ちゃん」
葉時女はじっと、早流を見る。
「知らないわ。聞いてないもの。」
早流はそう答えた。
「・・・夢夜君」
突然、早流が固まる。そして怒鳴る。
「嘘よ!彼奴は神瑠魔を殺したのよ!なのに、何故、神瑠魔が彼奴を好きだっていうの!?」
早流の怒鳴りを無視するかのように葉時女は・・
「神瑠魔ちゃんの幸せは夢夜君だったわ。そして、神瑠魔ちゃんは夢夜君のせいで自分が死んだとは思っていないわ。私・・見ていたの。あの日・・。あれは、神瑠魔ちゃんが足を滑らして、落っこちそうになったとき、夢夜君は神瑠魔ちゃんをつかんだ。だけれども、神瑠魔ちゃんは『離して!出ないと、夢夜君まで落ちちゃう!』って・・神瑠魔ちゃんが落ちたとき、夢夜君が一番責任を感じた。罪悪感に覆われて・・その日の記憶があいまいになってしまったわ。かわいそうな人よね・・夢夜君って」
葉時女はにこっとさびしそうに笑う。
早流は「絶対信じない!」と、叫んで出て行った。
キイッ
「・・お母さん」
葉時女は、扉の向こうに立つ女性に言う。
「葉時女、早流に何を言っても無駄よ。あの日の話をしたって・・きっと」
「そ、そんな事ないわ!絶対、平気よ!だって、神瑠魔ちゃんだって・・」
葉時女は泣き出しそうになる。
「神瑠魔ちゃんの言葉・・聞いちゃいけなかった?あの日・・神瑠魔ちゃんは・・夢夜君を・・助けようとした・・叫び」
そして、葉時女は泣き出す。
「・・ひっく・・ひっく・・」
(どうして!?何で!?嘘よ!嘘よ!神瑠魔が!神瑠魔が!こうなったら・・すべて秋土の悪さだって・・やってやるーー!!)
=次の日=
「・・・」
こんにちわ、俺、本編の主人公の夢夜。「・・・」の奴は秋土紅・・だ。俺にしつこく付きまとってやがる。おまけに、秋土をコントロールしているのは早流。
「なあ、秋土。お前が右手使えなくなったのっていつだ?」
ピクッ
「悪いな。早流との話は全部知っている。俺は、早流と違ってばらしはしないぜ?」
俺が言うと秋土はポソッといってくれた。“ウマレツキ”・・と。・・待てよ?手術じゃ無理って事は・・・早流に利用されるな・・思いっきり。
「お早う、夢夜君」
美人でお嬢様育ちに見える少女・葉時女だ。
「お早う、葉時女」
葉時女はお嬢様育ちなの?と、よく聞かれるらしい。お嬢様育ちではなく、普通に育っているのにな。そして、葉時女は結構人気があるらしい。女子どもでも。
「ねえ、夢夜君、早流ちゃんが何か言ってこなかった?私と・・あったあと」
葉時女は心配そうに俺を見る。
「・・いや、別に?」
葉時女はにこっと笑う。
「ねえ、私のクラス2−E(*中学生です)なの。よかったら、きてくれる?」
ニコニコと、笑う葉時女は俺に言う。
「・・ああ、暇があれば」
「放課後・・きてね?」
「え・・ああ」
みんなの、ひそひそ声がなんか聞こえる。
「おい、法月。お前いつから、一馬さんとなかいいんだ?」
俺の名前は法月(ほうづき)夢夜。みんなには俺に苗字教えてなかったよな?一馬とは、早流の事ではなくて、葉時女の事だ。もっとも、神瑠摩の事なわけないしな。
「幼馴染」
俺が、答えると、なんっか、冷やかされている。
「ね、ねえ、夢夜君。神瑠魔ちゃんの事・・まだ、気にしているの?あ・・その・・えっと・・」
照れているのか、葉時女の声は小さくなる。
「ったく。葉時女は神瑠摩の事しか頭にないのか?」
「ご、ごめんなさい」
葉時女は、俺の隣にいる秋土の事に気づく。
「あ、あの、ええっと、私、一馬葉時女。貴方は?」
葉時女が秋土に挨拶すると秋土は・・
「・・秋土紅」
と、だけいって、先に行ってしまった。
「秋土君ね、わかったわ」
彼女の微笑が・・見られなくなるなんて、考えた事なかった。
その日は、まだ何も知らなかったんだ。
彼女が現れないなんて・・。
第6章「嫉妬」
=次の日=
ガラッ
ザワザワ・・・ザワザワ・・
「秋土が最近、毎日学校へくるぜ?」
「おまけに朝は早いし」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「紅ーー、算数教えてーー」
早流が呼ぶと紅は早流の近くによる。
「紅、これできる?意味が解らないんだけど・・」
「・・それは・・」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「なあ、秋土の奴が、一馬早流に教えてるぜ?すごくないか?しかも“紅”ってよんでるし」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「ふふふ、仲いいわね、秋土君と早流ちゃん」
ニコニコと、葉時女は笑う。
しかも、おまけに、俺の教室で朝自習してるし・・
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「一馬さんと、法月の奴いいよな〜。あんな、お嬢様と幼馴染なんて」
「しかも、わざわざ夢夜のクラスに来てるんだぜ?」
ザワザワ・・ザワザワ・・・
「ねえ、紅。この、小説面白いよ。読んでみて!」
早流は秋土に小説を渡す。
「・・これは?」
早流は笑って答える。
「“ルーとリーの冒険”。主人公はリー。その弟がルー。不思議な世界に迷い込んでしまった、二人の物語!面白いから、紅もよんでみて!」
秋土はこくっと頷いて受け取る。
俺的には、早流は秋土を脅していたはずなのに、今では、二人とも仲がよくなっている・・というのが、少し疑問だ。
「あの、お話ね、昔、夢夜君が好きだった小説よ」
!?
「だって、昔、貴方が早流ちゃんにあげた小説じゃない」
え!?
「い、いつ!?」
「神瑠魔ちゃんが事故死してから」
俺はあげた覚えなんか・・・。
それに、俺は、あんなもの、好きじゃない!
「・・そうだよね、あの日の事は、夢夜君が覚えているわけ・・ないのよね」
葉時女はさびしそうに笑う。
「あ、そうだ。」
葉時女は立ち上がる。そして・・
「早流ちゃん、ちょっと、お話があるの。いいかしら?」
早流は頷く。そして、俺に「バーか」という。誰が馬鹿だ!
そういえば、秋土の奴、不良化してても学年トップってのが、凄かったよな〜。
授業もろくに出てないのに・・。
「ええええええええええええええ!!!?」
一瞬、早流の声が聞こえた。俺が、耳をすますと・・
「お願い!早流ちゃん、一生の頼みなの・・・駄目?」
何を話しているんだ?彼奴ら・・・。
「で、でもぉ、なんで?葉時女が自分で頼めばいいじゃない!」
「ご、ごめんなさい」
葉時女の誤る声と、早流の怒鳴り声が聞こえた。
「−−−−−−」
じっと、秋土は早流を見ていた。俺は秋土に・・
「お前、早流の事好きなのか?」
と、小さな声でつぶやく。
カアアアアア
「図星。」
へー、不良の秋土にもかわいいところあるんだな。っツーか。それでも、無表情かよ。
ガラガラッ
「夢夜君!」
飛び込んでくる葉時女。
「お願い!一生のお願いがあるの!」
葉時女の言っている意味がさっぱり。
「・・・何なんだ?葉時女」
「・・あの・・私・・その」
ガラガラガッシャーーーーーン
「おい!秋土!お前が落としたんだろ!自分でやれよ!」
秋土が落としたのではない。でも、何故嫌がらせしてるんだ?
「俺は落としてなどいない」
「うっせーなー!先輩ノーー」
ゴツンッ
「貴方達邪魔。そこは、通行人の通るところなんだから」
・・・早流、強いな・・お前。
ピクンッ
!?
ゴホッゴホッゴホ
「あ、夢夜君!?」
−続く−
第7章「“偽り”の最後」
生まれたときから、嫌われていた。
自分の「存在」なんか、感じた事は、一度もなかった。
みんなに、嫌われ、両親にさえも嫌われていた。
“悪魔”・・と。
だから、あの時、早流の言葉をとめてしまった。
自分のときと同じ気持ちだと考えてしまったら・・とめてしまった。
関係なかったはずなのに・・
他人の気持ちなんてわかりたくもない。
知りたくもなかったはずだった・・・。
まだ、あの頃は。
初めは、早流に脅されて、彼奴をおとしいれようとした。
だけれど、あの時はまだ「邪魔な奴」とかしかおもってなかった。
早流がだんだんと俺に近づいてきてくれてうれしかった。
そのとき、初めて「うれしい」という感情があった。
早流と一緒にいたい。早流と別れたくないって・・・思い始めた。
意味のない存在?
意味はなかったの?
「自分」の存在がほしい。
「存在」を認めてくれる人がいたから。
だから、自由にしてほしかった。
「一人」じゃなかったから。
・・・早流。
早流には、とても、感謝している。
“偽り”の自分を隠さなくていいよね?
“偽り”を・・もう、とかしていいよね?
ーーーーーーーーーーーこれが、最後の偽り。
=次の日=
「早流」
僕がそう、よんだとき、君は笑った。
「なぁに?紅」
「もう、自分を“偽る”のはやめたよ」
そう、僕が言うと笑って「よかったぁ。じゃあ、“素”のままの紅でいてね」といわれた。凄く、凄く、うれしくて。
初めてだったから。うれしくて・・
早流に笑ったら「初めて紅の笑ったところみたー」と・・喜ばれた。
ガッシャーーーーン
「!?」
「何ーー?」
彼女は・・・一馬葉時女?
「早流、あそこにいるのは・・早流の・・妹」
彼女の名前をよべなかった。
「神瑠魔?」
「違う!一馬の・・」
「もしかして、葉時女!?」
走った。
二人で走った。
葉時女は、教室のベランダにいた。
「葉時女、危ないわーー!」
<続く>
第8章「“失恋”男でも女でもないもの」
「葉時女!何をしているの!!葉時女!!!」
早流は、葉時女をとめようとするが、葉時女は苦笑いをする。
「失恋したから」
葉時女はそういう。
早流は何の事だが解らなかった。
「私、早流ちゃんより、ここに、ずっと前からいたんだよ?」
葉時女は、だんだんと、涙声となっていた。
そして、葉時女は急に怒鳴った。
「早流ちゃんの、好きな人は誰っ!?」
葉時女の怒鳴り声に驚く早流。
早流は笑って・・だけれども、不安そうに
「・・・紅だよ?」
と、答えると・・
「知らなかったの?」
という、葉時女の声が聞こえた。
「何も、知らなかったんでしょう?」
震える声。だけれども、誰も近づかせない。
「私が、紅君のことずっと・・っ六年生の頃からずっと好きだったのを!」
「!」
紅も驚く。
だけれど、一番驚いていたのはーーーーーーーーーー早流だった。
早流は、口をパクパクさせた。
「嘘!でも、紅は笑う子だって・・凄くにっこりと笑う人だって!いってたじゃない!」
葉時女は首を横に振る。
「・・・だって、そうじゃないと、みんな、愛させてくれないでしょう?私のときは、いつだってそうなの!私の恋を邪魔するの!ねえ、紅君は、私と早流ちゃんを重ねているんでしょう!?」
紅ははっとする。
早流の知らない世界。
早流の知らない二人のつきあい。
二人は一体どんな関係なのだろう?
だけれども、紅は黙っている。
ただ、沈黙のみが流れる・・。
「・・・・そうかも・・しれない」
紅の答えに早流はいう。
「ちょっと待って!ねえ、駄目なの?私じゃ駄目?ねえ、紅!!」
「どっちが、すきか・・・答えて」
紅は走る。
ガシッ
「ちゃーんと・・・答えろよ」
夢夜が紅をつかむ。
紅の答えは・・・以外にもーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー早流霞だった。
「え?」
“早流霞”とは、神瑠魔の姉で早流と葉時女の双子の弟・・でも「三つ子」ではないのだ。何故「双子」かというと早流と葉時女が生まれてきたのだが、実は早流と葉時女はなにか線でつながっていた。その線の真ん中に“早流霞”がいたのだ。実は、誰も知らなかったが、紅は男でも女でもない。
本当なのだ。
だから、つきあうのは男でも女でもどちらでもつきあえる。という事だ。
「−−−−−なっ・・男が男を好きになるの!?」
早流の声は廊下まで響く。
「・・別に、俺は男でも女でもない。あえてゆうならば・・」
ガッシャーーーン
「葉時女!?」
<続く>
第9章「“楽”死ねばなりますか?」
「だったら、私は何のためにずっと恋していたの!!!!」
バッ
「飛び降りちゃ駄目ーーーーーーー!」
葉時女は早流の言葉を無視して、とびおりた。
ーーーー飛び降り自殺。
よく、あるパターンだ。
だからといって、俺はこれとはいわない。
よく聞く話だしな。
「うるさい」
生徒会長の、一馬 早流霞(かずま さりゅか)・・。男。
「早流霞ぁ、葉時女が自殺しちゃったぁ」
早流霞はふいっと顔を背ける。
「さ・・・」
早流霞は後ろを向いて「はっ」と笑う。
「それがどうした?関係ない」
早流霞は“人間”の心を持たない。
紅は走ってゆく。
紅自身は本当に早流霞が好きだったのかどうかはわからない。
いいのがれだったのかもしれない。
だが、ひとつ、紅は罪悪感に襲われる事が確かだという事が解る。
きっと、彼奴は葉時女が好きだ。
だが、葉時女はもう死んだ。
おまけに早流は絶対また「人殺し!」と叫ぶだろう。
違うのか?早流・・
早流!?
「嫌」
え?
「死なないで」
死なないでって・・・誰に?
「死なないよねっ・・死なないよねっ・・神瑠魔みたいに、みんな死なないよね!!!!」
早流・・・?
「嫌い。嫌い。助けてよ!紅!」
ーーーーーーーー
なんていえばいい?
葉時女は死んだんだ?
違う!
そんな事いったって、何の解決にもならないっ!
当たり前だろう?
何の解決になるっていうんだ!
解決にはなりはしないさ・・・・。
「あきらめるなよ」
「え?」
「俺がいるから。紅がすきだって事も・・あきらめるな。馬鹿」
泣く。
早流は、初めて、俺の前でなく。
・・・本当か?
本当に初めてか?
早流が俺を必要とするのは・・・っ!
初めてじゃない!
違う!
いつ忘れた?
大切な記憶なのに!
俺は、いつ忘れたんだーーーーー?
−−大切な記憶−−
<続く>
第10章「“解決”の時を迎えて」
「紅、昨日はごめんね?」
(っていえるかなぁ〜)
ピンポーン ピンポーン
「こんな時間に誰?」
少女・早流は玄関へと降りてゆく。
「あれ?夢夜?」
「大変だ!秋土が・・紅がまだ、家に帰ってきていないって!」
「え?」
突然の出来事。
台風と大雨がすべてを覆う。
そんな日に、紅がかえってこない。
さすがに、家族も心配したらしい。(←外だけ)
「何で・・?」
早流は泣きそうになる。
(まだ、いってないっ“ありがとう”も“ごめんね”も・・何も言ってない!)
バッ ・・
「ほんっと・・俺の知っている早流だ」
本当に知っているのかはわからない。
自分自身ではよくわからないんだ。
ただ、俺は・・
「どうしたの?」
「あ・・早流」
早流は笑う。
「あのねっ・・探そう?一緒に」
気まずいんだな。つまり。
ザああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
「紅!!」
見つけた。
やっと。。
三時間もして、紅を。
「・・」
紅は黙っている。
「・・」
俺は紅に言う。
「秋土?」
「紅!!!!心配したんだよっ・・なのに、どうし・・・紅?」
!
そうか、葉時女の事か。
「解決・・したの?」
葉時女の事かと思えば、そんな事をいう。
「頭の整理はついた?」
「え?」
早流を引っ張る。俺を無視して。
「いこう。俺と付き合いたいのなら、俺と旅ができる奴しか興味ない」
「え?ちょ・・っ!紅!!!」
俺は無視ですか。
大体、俺は主人公だぞ?
なのに、何で無視される?
だけれども、いいな。
あんなふうに仲いい人がいて。
ちょっと・・うらやましい。
解決のときを迎える。
もう、悲しい日々なんて続かないように。
<続く>
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